管理人のお仕事シリーズ・第2弾
四十路も半ばのSPring8奮戦記2004
みなさん、「SPring8」って知っていますか?(スプリングエイトと読みます)。 そりゃ、ご存じない方が大半でしょう。 でも、和歌山毒カレー事件で使用されたヒ素の鑑定分析がおこなわれたところと言えば、「はは〜ん」と言われる方がいるかもしれません。 この話は四十路半ばの老骨(?)に鞭打って徹夜で実験した物語です。
§1 SPring8ってなに? 何処にあるの?
ここは兵庫県の山奥、SPring8は正式名称を「大型放射光施設」といい、世界最高性能を誇る放射光実験施設です。昨今のナノテクブームにのり,、一躍脚光を浴びております。

SPring8の全景です。右の○が蓄積リングとよばれる巨大な実験室です。この中を電子が光に近い速度で廻っているといってもなかなか実感できません。ま、巨大な「流しそうめん」と考えていただければ話が早いかと、ちなみにこの流しそうめん装置、1周約1.5キロメートルあります。

晴れた日はいたってのどかなところです。このあたりの標高は約500メートル。この写真をみるとハイキングにでもきたのかと思われそうですが

「流しそうめん」に近寄ってみるとかなり巨大なのがおわかりいただけるかと思います。

夜明けのSPring8(朝5時頃)

§2 中はどうなっているの?
とにかく広いです ご案内しましょう

実験エリアの全景です。このような風景が全周1.5キロメートル続きます。机や椅子の大きさと比べてみてくだされ。

上部からの実験室風景です。

ではリングを1周してみましょう。このような空間が延々と続きます

あまりにも広いので、実験ブース間の移動は自転車が主体です

ここは「和歌山カレー事件」のヒ素(As)の鑑定分析を行った実験ブースです。警察庁長官銃撃事件のコートの分析もここです。

まだなにもない空間があります。文部科学省がオカネをくれないため研究が保留になっているのです。
§3 ホントに仕事してたの?
 失敬な! SPringー8は1年に数日しか使わせてもらいません。(それも厳しい審査有り) 寸暇を惜しんでデータをとらなければなりません。 3人のチームで72時間交代で実験します。

とにかく時間との闘いです。見よ、この真剣さ

今回使用した計測装置です。扇型の部品に貼ってあるのは「扇千景」元文部大臣です。(施設のひと曰く、“魔よけ”だそうです)

1日あたりの休憩時間は食事+睡眠+αで約6時間しかありません。 夜も更けてくると体力の限界が。。。

こんなときは、測定の合間(約7分)でリングをチャリンコで疾走して眠気を覚まします。
§4 おまけ

周囲は中国山地の山の中です。 真夜中、目覚ましのために外に出てみると、怪しい光が2つ。。。

光の正体はタヌキ君でした。結構ヒトに慣れていて、研究者に餌付けされているようです。
ちなみにこのあたりにはクマも棲息しています。